‘難民’という言葉を聞くと、どうしても‘国を追いやられた人’というマイナスイメージが先行し、難民を受け入れる側としては治安や衛生等の様々なマイナスの視点から難民を捉えてしまう事が多い。今回の講演でキム・チュイさんから「難民を受け入れるという事は、新しい文化や視点を持っている人たちを受け入れるという事であり、ポジティブな面がある。」という強いメッセージをもらった。難民として国を終われ、非常に苦しい経験をしているにも関わらず、その経験をポジティブに受け止め、朗らかな表情で語ってくれた彼女の芯にあるものは、誰よりも「他者を受け入れる」ことのように感じた。
日本では、なかなか難民の方々の存在を直接感じる機会が無いために、どこか遠くの国で起きている問題のように感じられるが、日本にも難民申請をしている人々は少なからず存在する。日本で難民の方々にスポットライトが当たりにくいのは、やはり‘難民’に対するイメージの問題もあるのではないかと感じる。グローバル化が進む現在、難民にマイナスイメージを持ち、難民を受け入れない態度を通すのは国際社会にどう映るのだろうか。多様性を認め合い、他者から学ぶという姿勢が実現されれば、日本でも難民の方々を積極的に受け入れるようになるのではないかと考えさせられた。
(社会文化学専攻 博士前期課程 S・A)