講演会

国際シンポジウム 緒方貞子さんの思いを受け継ぐ         -アフリカと日本を結んで-              

2021年6月19日

「社会のどんな場所にあっても、その場に愛の灯を掲げる女性になりなさい。」 初代学長であるマザー・ブリットの言葉は、聖心女子大学第1期生である緒方貞子さんの時代から現在まで息づいており、受け継がれている。実際に私自身も聖心で学ぶなかで、他の人を思いやり尽くすことの大切さなど、人間的な学びを得ることができたと感じる。

 緒方さんは国連難民高等弁務官として東アフリカ・ルワンダの紛争後、現場に自らが赴き人々の声を聞く「現場主義」を貫き、難民への支援に奮闘された。そして、現地の女性たちへ様々な支援を行い、それは今でもルワンダの人々のなかに根付いているのだと思った。現在、ウムチョ・ニャンザという女性グループでは、ルワンダで起きたジェノサイドの被害者の女性と加害者を家族に持つ女性が一緒に活動し、和解と共生を目指している。そこで働く女性の「私たちは分断を乗り越え、赦し合った」という言葉が非常に強く印象に残っている。彼女たちが和解に到達するまでに双方には大きな葛藤があったのではないかと感じたと同時に、過去と向かい合って未来に向かって歩みを進めているということがわかった。

 今回のシンポジウムに参加し、緒方貞子さんが女性のエンパワーメントや平和を追い求めて活動されていたことを改めて知った。私自身も聖心での学びと灯を生涯大切に持ち続けたい。そしてこの先、社会に出てからも自分自身の使命を探求し、果たしながら人生を歩んでいきたいと強く思う。それこそが、シンポジウムの題となっている「緒方貞子さんの思いを受け継ぐ」ということになるのだろう。

                          (社会文化学専攻 博士前期課程 T・M)

  

さまざまな視点から、たくさんの貴重なお話を伺いました。
ルワンダについて、「虐殺が起きた国というネガティブなイメージだけでなく、逆境を乗り越えて成長し続ける国、女性国会議員の割合が世界一の国」といった「ポジティブなイメージを持つ方が増えていることを嬉しく思う」というお話がありました。ルワンダの方々が、大きな痛みや苦しみを抱えながらも、相手の痛みや苦しみを思い、赦し合って共に歩んでいらっしゃることに感銘を受けました。
また、永遠瑠·マリールイズ氏の「私は、緒方貞子さんのようなことはできない。けれど、命を繋いでくれたことは一生忘れることはできない。」「生き残ったからできる一つの小さなことが大切だと思う。子供に教育を与えることが私たちにできること。大人も皆も学ぶことによって次の世代につながっていけると思う」というお言葉も大変印象的でした。
形はそれぞれ違っていても、「緒方貞子さんの思い」を受け継ぎ、行動することが、未来を切り開く大きな力になっているのだと感じました。
知ること、学ぶこと、考えること、そのひとつひとつを大切にしながら、行動に繋げたいと思います。
貴重な機会をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。

(社会文化学専攻 博士前期課程 F・K)